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いぐ  「La route occitanne」

トゥールーズやカルカッソンヌ、ふたつの街で起こるわくわくするような出来事やフランスで見られる変な日本、現地のグルメ情報、そして小さな旅のレポートなどをお送りしていこうと思います。





第4回:古代美術に触れる−ニオー洞窟

突然ですが、みなさん洞窟探検は好きですか?暗くてジメジメしているし何がいるかわからない、そんな閉ざされた空間になんてわざわざ入りたくないですか?それとも、平凡な生活から抜け出してミステリアスな世界に脚を踏み入れてみたいという考えをお持ちですか?

フランス南西部には数多くの洞窟があり、そのいくつかが一般に公開されているのです。有名なもので言えばラスコーの洞窟(スペインのアルタミラの洞窟とともに記載されてるのを教科書で見た人もいると思います)で、先史時代に描かれた壁画を見ることができます。しかし、残念ながらこのラスコーの壁画、多くの人々が出入りしたため洞窟内の環境が変化してしまい、現在では壁画の保存のため、人々が出入りすることは禁じられています。

なので、私たちが見ることができるのは、複製された壁画です。「レプリカを見たってしょうがない。本物が見てみたい!」と思った人、まだ諦めないで下さい。そんな人のために今回は、あまり有名ではありませんが本物の壁画が見られる穴場の洞窟をご紹介します。

トゥールーズから南に車を約一時間半ほど走らせると、雪を頂いた美しいピレネー山脈が姿を現します。そのすぐ麓の岩山に囲まれた小さな町ニオーにその洞窟はあります。

洞窟の入り口は町を見下ろす高い位置にあるので、古い町並みや周囲の岩山の間にそびえるピレネーの景色がとても美しいのが印象的でした。筆者は15時30分からのツアーを予約していて早めに到着したので、それまでのあいだ洞窟の前に設置してある解説や注意書きのパネルを眺めていました。

ミオーの洞窟では1万4千年前の壁画が保存されていて、その状態を保つために厳重なルールが設けられてあります。洞窟内の見学は1日に6回まで、1回につき20人までと人数制限がされているのは、人間の体温や吐く息で洞窟内の温度が上昇するのをふ防ぐためなのだそうです。

洞窟内は常に12度に保たれていて、このルールを取り決めてからは壁画の状態は変わらず良好なのだそうです。洞窟内では、周りの壁に触れるのはもちろん、写真撮影も禁止です。見学の際にはフランス語のガイドさんが同行したのですが、「とにかく壁に触れないで!」と何度も呼びかけていました。

筆者が参加したツアーでは、子ども連れの家族がほとんどでした。ガイドさんが参加者全員にライトを貸出してくれるのですが、これがまた旧式で重いので、小さな子どもには持たせないほうがいいです。洞窟に入る前にガイドさんの説明がありました。


「私たちが今から向かうのは洞窟の真ん中あたりにあるサロン・ノワールという大きな空間です。ここにこの洞窟のほとんどの壁画があります」。個人的には洞窟内を隅々まで見物したい気持ちでいっぱいだったのですが、奥に行けば行くほど危険なうえに壁画は見られないのだそうです。

「それでは、洞窟内へ進みましょう。鍾乳洞や天井、周りの壁を見渡したいかもしれませんが、お手持ちのライトは足元を照らすのに使ってください。」とガイドさん。地面はほとんど舗装されておらず、でこぼこみちや段差や水たまりだらけなので、滑ったり脚を濡らしてしまったりする人が続出。

ひんやり涼しい洞窟内ですが、本気で歩くことだけに集中しなければならないので、すぐに暑いと感じるようになりました。臨場感溢れる約2キロの道のりです。

洞窟に入ってまず初めに見られるのが、1950年代に書かれた落書き。このニオー洞窟が発見されて先史時代の壁画があると認定される前に、洞窟に入っていった人々が記したのだそうです。

これらの落書きもまた保護の対象で、洞窟内のあちこちで見られました。次にガイドさんが私たちに見せてくれたのは、古代文字と思われるしるし。1万年以上前のものとは思えないほど鮮やかな朱色で描かれたこれらのしるしは錆を原料にしてあるのだそうです。

文字と思われるこれらのしるしの中に鍵のような形をしたものがいくつか見られるのですが、同じような鍵の形をしたしるしがこの近辺の多くの洞窟で発見されているのだそうです。なので、研究者たちのあいだでは、この鍵のようなしるしがピレネー地方特有の言語や文字に相当するものなのでは・・・?と考えられているのだそうです。

洞窟をどんどん進んで行くと、子どもがギリギリくぐり抜けれるくらいの高さの小さな通路を通って行きました。その時も「狭いし滑りやすいけど、絶対に壁には触れないで!手を着くときは四つん這いになってください!」とガイドさんから再三の呼びかけがありました。

こうして、もっとも大きな空間のサロン・ノワールと呼ばれる場所へ向かいます。サロン・ノワールに到着すると、全員ライトを消すように言われました。大勢の人々がそばにいるにいるのはわかっていましたが、あまりの暗さに、洞窟の中にたった1人で取り残された気分になってしまいました。

ふいにガイドさんがパッとあかりをつけたので眩しさに目がくらみましたが、目の前の壁には力強い線でくっきりと描かれた動物たちの姿が浮かび上がりました。


躍動感溢れるバイソンや鹿、猪、馬などが描かれていました。しかし、どういう目的でこれらの動物が描かれたのかは、わからないのだそうです。一説では狩猟を描いたのだろうと言われているそうです。

サロン?ノワールでの滞在は約25分で、その間ガイドさんがひとつひとつの絵について細かく解説してくれました。洞窟内の行き帰りも合わせて合計45分ほどの探検でしたが、小さな子どもには少しキツイ道のりだったのではないかと思います。途中で疲れ果ててママにだっこしてもらったり(足場の悪い真っ暗な洞窟の中を子どもを抱いて進むなんて重労働です・・・。母の愛を目の当たりにしました)、ガイドさんが説明してる途中で地面に横になって寝てしまう子までいました。

町を後にする際、夕日が洞窟の入り口を眩しいほどに照らしてキラキラ輝いていたのが神秘的な光景でした。国外からの観光客が少なく穴場スポットのようでした。駅はあったので、電車でニオーの町まで行くことはできるでしょうが、洞窟までは車が必要みたいです。アクセスや電話番号は公式サイトに書かれています。見学時間などわからないことがあれば、電話で親切に教えてくれます。また、見学は予約必須です。

(公式サイトはhttp://www.grands-sites-ariege.fr/en/grotte-de-niaux/detail/1/presentation-10 英語でも閲覧できます。) 

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