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長谷川賢:「francer」

フランス全般に関する旅行情報や各地方や町の楽しみ方など、特に「地方色の豊かさ」をテーマに村めぐり、ワイン、地方文化などをテーマに綴ります。





第41回:南シャンパーニュの古都 トロワ

先日のシャンパーニュでは、ランス(Reims)はもちろん訪ねましたが、そういえばシャンパーニュとは言ってもランス以外は訪ねていないことに気がつきました。今回はランス以外にもルノワール終焉の地、エッソワ村などへも足を伸ばしましたが、中でもその芸術性の高さと町としての佇まいが素晴らしいと感じたのは、南シャンパーニュの古都トロワの町。

よくシャンパーニュの産地と掛け合わせて「シャンパンの栓の形をした旧市街」などと紹介されますが、それは単なる形の話。町の中を歩くと、歴史のある古都がしっかりと残っている町です。

トロワは南シャンパーニュにおいて、フランドル地方とイタリアを結ぶ交通の要所として発展し、12世紀以来、毎年大きな定期市が行われたため、ヨーロッパ中の商人や職人が集まり、発展しました。

これがトロワの第一の発展時期となります。その後、商業ルートが変わり、この商業は衰退しましたが、16世紀の初頭にはメリヤス(ニット)工業が発展し、それとともに毛織物、染色、製紙工業が発達しました。靴下や帽子を中心に製造し発展した時代を旧市街の歴史的建造物は今に残しているように感じます。

旧市街は可愛くも、芸術性の高さと当時の発展を思わせる建物が多く残ります。まずは市庁舎近くに広がる木骨組の家並みが続く界隈は石材が不足するこの地方では当然のことであったのでしょうが、非常によく残っており、なんとなくフランスの田舎を思わせる旧市街が残ります。

(木骨組の家並みがよく残るトロワの旧市街)




もう一つは旧市街には数多くの教会が残り、14〜17世紀にかけて造られたステンドグラス、15世紀の華麗なゴシック・フランボワイヤン様式のファサード、美しいマリアの彫像など特筆すべきものが多数残っています。

その中でも最も素晴らしいと感じたのは、サント・マドレーヌ教会。トロワの旧市街の中で最も古い教会であり、ステンドグラスのストーリーが非常に明快。

神様による天地創造から、カインとアベルのストーリー、イサクの犠牲など旧約聖書のストーリ、キリストの家系図を表わすエッサイの樹の素晴らしいステンドグラス、キリストの受難、そして教会に祀られているマグダラのマリアのステンドグラスがあります。

(例えば、これは「イサクの犠牲」のステンドグラス)

どれも聖書の有名な場面をあらわしたものであるので、一見してすぐにわかるものばかり。もちろん、聖書を知らない人にとってステンドグラスはどれも同じかもしれませんが、当時の人たちには非常によい教科書となったのであろうと思う内容です。

その他にも聖母マリアのステンドグラス、マグダラのマリアの生涯を描いた宗教画(17世紀)、マグダラのマリアと共に流刑にあったサント・マルトの像など、特筆すべきものが多くある教会です。

さらには、この教会はジュベと呼ばれる仕切り壁で内陣と身廊が分かれている現在では珍しい教会。この部分の装飾も見事なものです。

(お腹から樹が伸びる「エッサイの樹」のステンドグラス)





その他にも、やさしい微笑みを浮かべるサン・テュルバン教会の「ぶどうを持つ聖母」像も素晴らしかったですが、もう一つ上げるとすればやはり、サン・ピエール大聖堂でしょう。

中世の様々な時代の建築様式がミックスされていますが、荘厳ナゴシック・フランボワイヤン様式のファサード、そして1500平方メートルにも及ぶステンドグラスは見事の一言。当時の繁栄ぶりを感じさせる大聖堂です。


(サン・ピエール大聖堂のステンドグラス)

この大聖堂を挟む形で、中世からルネッサンス期の美術品を集めた「サン・ルー美術館」、そしてブラック・デュフィ・マティスなどの絵画を集めた近代美術館があります。

どちらもコレクションとしてはなかなかのものですが、見ごたえがあったのは、サン・ルー美術館。元修道院を改装した建物なので、内部もなかなか立派ですが、見ごたえのある作品が多く、受胎告知の木製彫刻、ガルグイユの展示、最後の審判、クローヴィスの生涯など(かなり個人的にですが)素晴らしいものが多かったです。

なかでも個人的に気にいったのは、シャルル・ジョセフの「レダと白鳥」。16〜18世紀にかけての絵画がお好きな方は必ず気にいると思います。

2泊したトロワですが、もっとゆっくりしても十分に楽しめる町であると感じた町、まさにシャンパーニュの古都と呼ぶのにふさわしい街でした。

(サン・ルー美術館の「レダと白鳥」)






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